不器用な冥界の神様~ギリシャ神話~
前回、ティターンの戦いと呼ばれる親子ゲンカでゼウス達兄弟姉妹が勝利し王権を握り世代交代となりました。
今回はその世代の神々の中から「冥界の神ハデス」のお話となります。
親子ゲンカに勝利した結果
父クロノスに勝利したゼウスは、この戦いで全てを雷で焼き尽くしカオス(混沌)すら消し去ります。
その結果、コスモス(秩序)が確立されていきます。
ゼウス達神々はこの秩序を守っていくためそれぞれの担当分野をくじ引きで決めます。
今回の主役ハデスはくじ引きの結果、冥府と地底担当となります。
一目惚れした不器用な神様
死者の魂を裁く冥界の神で冷酷で慈悲を知らないハデス。しかしその反面、
女性に不慣れでどう近づいていいかわからないほど純心で無垢でありました。
そんなハデスは一人の女性に一目惚れしました。
それがのちに冥界の女王となる「ペルセポネ」です。
この一目惚れには逸話があります。
愛の女神アプロディーテが自分を敬わないペルセポネに報復するために、自分の息子のエロスに矢を放たせます。
この矢は冥界から地上を見上げていたハデスを射貫き、たまたま目に映っていたペルセポネに一目惚れをし恋に落ちました。
結果的にさらわれることになったペルセポネですが、このエロスが放つ矢のことを「キューピッドの矢」と言い、その矢がこんな使い方をされた一例です。
恋に落ちたハデスは恋人関係でもないのにペルセポネの父であるゼウスに結婚の許可をもらい、ペルセポネを冥府へとさらってしまいます。
ペルセポネは突然のことでショックを受け、ペルセポネの母であるデメテルはゼウスが勝手に許可を出したことに怒りをあらわにします。
会えない時間は寒い、、、
ハデスの策略で冥界の掟を守らざるを得なくなったペルセポネは1年のうち4ヶ月ほど冥界に滞在しなければならなくなりました。
母デメテルは神々が決めたこの掟を破ることはできず、会えない時間の寂しさから地上の実りを止めてしまいます(デメテルは豊穣を司る神)。
これが「冬」の始まりです。
またペルセポネが冥界から戻ってくるときには喜びが地上に満ち溢れます。これが「春」となりペルセポネは春の女神とされています。
この親子愛が「季節」を作り出したお話でした。
途中からハデスの存在が出て来なくなりましたが、そこはハデスの「隠れ帽」のせいということで、、、
次回は暴れん坊な兄弟「ポセイドン」のお話となります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。